チャプター 273: ペニー

 必要な道具が全部そろっているわけじゃない。まともな包丁の半分はまだ箱の中で、段ボールの海に埋もれたまま――その段ボールがダイニングを乗っ取っている。必要なざるは確実に台所にない。だから結局、穴あきおたまでパスタをすくい上げ、神頼みしながら湯を切る羽目になる。それに、このソースがどうにかなっているのも、バターとニンニクの神さまが情けをかけてくれたからに違いないと思う。

 でも、私は料理をしている。

 本当に、料理を。

 いつから食事を作ることにこだわるようになったんだろう。たぶん、あの頃――アッシャーが何度も私に料理を作ってくれた、あの初めの数年を見ていたせいだ。丁寧で、静かで、慎重な彼...

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