第275章:アッシャー

正午を少し過ぎたころ、丘のあいだを秘密の道みたいにうねりながら伸びる、長い砂利敷きの私道へ車を乗り入れる。この辺りの田舎は春の匂いがする。陽に温められた草と、古いオークの気配、風にかすかに混じるラベンダーの名残。彼女はここがどこか知らない。ただ、俺が「楽な格好で来い。笑顔も忘れるな」と言ったことだけは知っている。

彼女はその通りにしてきた。

助手席の彼女は、ほとんど発光しているみたいだ。熟れた桃みたいな色の軽いサンドレスに、「実用的だけどちゃんと可愛い」から好きだという小さな白いスニーカー。あぐらをかくみたいに脚を組んで、無造作な三つ編みを片方の肩に投げ、彼女のためだけに流しておいた古いフ...

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