第31章:ペニー

ブース席が狭すぎる。

――いや、そう感じるだけかもしれない。アッシャー・ブラックが私のすぐ隣、ほんの指一本分もない距離に座っているから。間にクッキーの天板を挟んだらそのまま焼けてしまいそうな熱を、彼はじわじわと放っている。

触れているわけじゃない。かすりもしない。

ただ……そこにいる。重くて、動かなくて、硬い。ほとんど攻撃的と言っていいほどの「確かさ」。

空気を占領してしまう類いの存在感だ。

少し身じろぎしてみるけれど、何の足しにもならない。

むしろ余計に意識してしまう。彼の熱が、炉の設定を上げすぎたみたいに肌へ流れ込んでくる。内側から煮えたぎっているみたいに。

これが彼の平常運転?...

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