第52話ペニー

夕食の匂いは、この世の「おいしい」が全部ひとつの台所でぶつかり合ったみたいだった。

温かなニンニクの香り、とろとろと泡立つチーズ、ハーブとバターの気配に、ほんのり甘さ――たぶんサラダのドレッシングだ。これは、ただお腹を満たしたいんじゃない。「あなたを大事にしたい」と思っている人が作る食事の匂いだ。

ヘイズ夫人が、巨大なラザニアの皿を、まるで人生最高傑作でも披露するみたいにテーブルへ置く。ヘイズ氏はパン籠と、スライスしたオレンジが入ったサラダのボウルを運んできた。柑橘のビネグレットが、液体の陽光みたいにきらきら光っている。

「すごくおいしそう」私は腰を下ろし、ナプキンを膝にたたんで言った。...

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