第61章:ペニー

また階下へ。安全。たぶん。

ヘイズ家のリビングはシナモンと洗い立ての洗濯物みたいな匂いがして、私はそれにしがみつく。救命いかだみたいに。だって私は、さっき二階でアッシャーといたあの瞬間から、まだ完全にショートしてるわけじゃ……ないはずだから。

うん、平気。ぜんぜん平気。ごく普通。私、ペネロピ・ヴェイルズが、驚いた鹿みたいにぱちぱち瞬きしながら、脚の使い方を思い出そうとしているだけ。

彼の声がまだ耳の奥で反響している。

「ペネロピ」

もう、どうして彼は私の名前を、警告みたいでいて秘密みたいにも聞こえる言い方で呼ぶの。

彼の両親はソファに並んで、紅茶をすすりながら小声で話している。どうせ、...

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