第62話ペニー

「準備はいいかい、出発できるか?」ヘイズさんが両手をパンッと打ち合わせる。まるで壮大な探検の出発みたいに。実際は、十代の男子ふたりが、クローゼット丸ごと向かいの家へ運んでるだけなのに。

精神安定用バッグを運んでまだ少し息が上がっているタイラーが、にっと笑う。「うん、もう大丈夫」

ヘイズ夫人が甘ったるい笑みを浮かべる。「よかった。だって、こちらからもひとつお知らせがあるの」

心臓が跳ねた。お知らせ? まさか、気が変わったの? やっぱりやめよう、息子たちをあなたの家に預けるなんて信用できない――そう言う流れ?

けれどヘイズさんは続けた。「君たち三人がそっちで留守番をしてくれるなら、これはち...

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