第64章:アッシャー

夕飯はうまい。

驚くほど、だ。ペニーの店選びが当たりだった。いや、どちらかといえば、タイラーが折れるまで彼をねじ伏せた、って言ったほうが正確かもしれない。彼女が「ここだけは間違いない」と太鼓判を押す、路地裏の小さなタイ料理屋。辛くて、温かくて、香りも味も層が深い。タイラーは案の定、最初は疑いの目を向けていたくせに、気づけば目の前の皿の半分を吸い込むように平らげた。ついでに彼女のどんぶりまで半分。

そして今は、俺たちを置いてソファに王様みたいに寝そべり、腹いっぱいのまま遠慮なくげっぷをしつつ、映画を探してスマホをスクロールしている。

俺は食べかけのどんぶりを、彼女のほうへ押しやった。

ペ...

ログインして続きを読む