第69話ペニー

「今朝をもって、あなたを来たるスプリング・ガラの主役に配役するわ」

その言葉が頭蓋の内側でぐるぐると回り、何度も反響して、耳の奥で打ち鳴らされる心臓の鼓動よりも大きくなる。本当に、今そう言ったの? マダム・ロレット――無表情で、厳格で、微動だにしないあのマダムが――私の名を呼び、その次に「主役」と告げたのだ。主役。代役でも、準主役でも、背景でも群舞でもない。主役。

声が静寂へと落ちていくのを、震えながら前だけを見つめて聞いていた。止める間もなく膝が崩れる。床にへたり込み、息を吸い込もうとあえぎながら、太ももの脇をつかむ。タイツ越しに爪が食い込む。震えがひどすぎて、いま何が起きているのか、ほ...

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