第84話ペニー

目を開けると、世界はビロードのような黒に覆われていた。

柔らかなそれじゃない。まとわりついて、すべてを丸ごと飲み込む種類の黒だ。カーテンの隙間から月明かりが忍び込んでくることもない。街灯の淡い光もない。ただ濃くて重い闇があるだけ。どうしてこんなにも温かくて、確かで……揺るぎない感じがするのか、理解するまでに数秒かかった。

そして、気づく。

額が何か硬いものに預けられている。嫌な硬さではない――しっかりしていて、温かく、動かない。私の下で、ゆっくりと規則正しい呼吸に合わせて上下している。手はそこに丸まり、彼の心臓の少し上にそっと押し当てられていた。

アッシャー。

私の頭は彼の胸の上にあ...

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