第91章:アッシャー

店内には焼き肉と甘い醤油だれの匂いが満ちていて、網はもうずいぶん長いこと熱せられているせいか、俺たちと卓上の換気口のあいだに熱のもやが漂っている。目の前ではサムギョプサルがじゅうじゅう音を立て、トングで押さえるとパチンとはぜるような、あの感じのやつだ。アンナは身振り手振りを交えながら、ルースターがバーナーでステーキを焼こうとしたときの話をペニーにしている。

ペニーは笑って、手で口元を覆う。……頼むから勘弁してくれ。俺は、まるでこの店じゅうで唯一の光源が彼女であるかのように、彼女から目が離せない。

彼女はここに馴染んでいる。予想していなかった。戦傷と陰惨な冗談と影のような記憶でできた俺の世界...

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