第10章

 ドアが勢いよく開いた。母の顔が現れた。

「よくもまあ、どの面下げて――」

 ケーレンは私を通り越し、前に出た。そして片膝をつき、首を傾けて、母の後ろに立つ男性に向けて自分の首にある印――私がつけた番の印――を晒した。

 アルドリックおじいちゃんだ。腕を組み、彫刻の御影石のように険しい顔をしている。

 狼族の社会において、アルファが伴侶の家族の長老に番の印を見せるということは、ただ一つの意味を持つ。『あなたの孫娘が私を自分のものだと宣言しました。彼女に選ばれたことを、私は誇りに思います』と。

 母の怒りはみるみるうちに消え去った。唇がピクピクと動き、やがて弧を描き、最後には顔の形が...

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