第6章

 リオラは諦めなかった。

 彼女は身を起こした。私の平手打ちで頬には血が滲んでいたが、五十年間練習し続けたかのような渾身の悲哀を込めてケーレンを振り仰いだ。

「あなた、私の両親のお墓にひざまずいて、私を守るって誓ってくれたじゃない」彼女の声は震えていた――いや、意図的に震わせていた。

「それなのに、あなたの群れの目の前で、私がこの女に殴られるのをただ見ているだけ? お母様がどう思うかしら? もしお父様がこれを見たら、何て言うかしら?」

 群衆がざわめいた。同情の空気が、再び彼女の方へと傾いていくのを感じる。いつだって、死んだ英雄という存在は、平手打ちされた頬よりも重みを持つのだ。

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