第119章 危険人物

狩野姫空は、まだどこか信じられない気持ちでいた。

「稲巳さんなら入院棟の三階、308号室」

「……うん」

そう返事をして、姫空は病院の中へ入っていく。

若井京はその背中を、視界から完全に消えるまでじっと見送っていた。

本当は、行くつもりなんてなかった。

けれど、若井京の言ったことが本当なのか嘘なのか――それが気になってしまったのだ。

気づけば姫空は、入院棟の三階まで来ていた。

そして308号室――特別病室。

そこには、正木稲巳がいた。

稲巳は姫空を見るなり、顔色をどす黒く沈ませる。

「なんで携帯の電源切ってた」

姫空はあっさり言う。

「充電切れ」

「……じゃあ、な...

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