第12章 正木稲巳、お断りします

狩野姫空には、梅崎静が電話をかけてきた理由が分かっていた。

梅崎静の頭痛は、薬だけでは足りない。鍼灸の補助が必要だ。

そもそも症状は、かなり深刻な域に達している。

姫空が渡している特効薬で痛みは和らぐ。だが毎日、鍼とマッサージをしなければ、のたうち回るほどではないにせよ、苛立ちが募り、神経がささくれ立ってくる。

研究所に勤め始めてから、姫空は梅崎静に鍼もマッサージもしていなかった。

一日二日なら、どうにか耐えられる。けれど長引けば、精神状態は悪くなる一方だ。

今日はまだ三日目。

この段階で電話をしてくるなんて――自分は梅崎静の我慢強さを買いかぶっていたらしい。

通話を切って間...

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