第128章 見知らぬ人のように

狩野姫空は浴室から上がり、部屋へ戻ると――正木司朗が自分のベッドに横たわっていた。

それが、少しだけ意外だった。

今日は梅崎静の件で、よほど怖い思いをしたのだろう。

でなければ、自分から「一緒に寝る」なんて言い出すはずがない。

司朗は姫空の姿を見た途端、布団を頭まで引き上げて、すっぽり潜り込んだ。

姫空も何も言わない。

黙ってベッドに上がり、隣に横になるだけ。司朗に話しかける気配もない。

司朗も、幼い頃みたいに姫空へ寄ってきたり、袖を引いて甘えたりはしなかった。

母と子なのに――まるで、知らない同士。

姫空はしばらく本を読んでいたが、ふと横を見ると、司朗はもう眠っていた。

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