第135章 歯には歯を

狩野姫空が戻ると、玄関先に正木稲巳が立っていた。

驚きはない。

彼女は正木稲巳を空気みたいに扱い、そのまま鍵を開けて中へ入る。

正木稲巳はぴたりと後ろにつき、ドアが閉まるなり姫空の手首を掴んだ。ぐい、と壁へ押しつける。

「心歌が殴られた件……お前が人を使ったのか?」

「そうよ」

姫空は平然と答え、真正面から稲巳を見返した。

「法で裁けないなら、やり返すしかないでしょ。目には目を、ってね」

壁に突いた稲巳の手が、ぎり、と拳に変わる。目の奥に怒りが滲んだ。

「……ずいぶん立派になったじゃないか」

「なに。通報して私を捕まえる?」

姫空は冷たく見上げる。軽口みたいな口調なのに...

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