第14章 今日も狩野姫空の誕生日

酒を少し飲んだせいで、狩野姫空は頭がふわりと重くなった。個室を出て、洗面所で顔を洗ってこよう――そう思って廊下へ出る。

「……ママ?」

洗面所から出てきた正木司朗は、廊下にいる狩野姫空を見つけた瞬間、びくりと肩を跳ねさせ、反射的に洗面所へ引っ込んだ。

なんでママがここに……?

まさか、パパと僕が守萌おばさんに付き添ってるって気づいて、探しに来たのか。

だめだ。どの個室にいるか知られたら、また騒ぎになる。

今日は守萌おばさんの誕生日だ。せっかくの誕生日会を台無しにしたくない。

司朗は息を殺し、狩野姫空の姿が視界から消えるのを待った。彼女が女子トイレへ入ったのを確認すると、今度は自...

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