第169章 汚名を着せられた

狩野姫空は眉をひそめた。梅崎宇作のその聞き方が、胸の奥に小さな棘を残す。

梅崎宇作も自分の言い方がまずかったと気づいたらしく、慌てて言い添える。

「誤解しないでください。ただ、ちょっと気になっただけです」

狩野姫空はぎこちなく笑ってみせた。狩野乃亜との関係を、わざわざ説明する気はない。

そもそも梅崎宇作とは職場の同僚で、先輩後輩。そこまで踏み込まれる筋合いはない。

それでも、狩野姫空が口を閉ざしたままだと、梅崎宇作の胸の中のざらつきは増していく。

そのとき。

「誰か、私の婚約指輪見ませんでした?」

林田守萌の声が、張りつめた静けさを一刀で切り裂いた。

「婚約指輪なんです。さ...

ログインして続きを読む