第172章 縁のない二人は無理に一緒にいる必要はない

正木香織は頷き、使用人から薬を受け取った。

狩野姫空はその薬名を一目で捉え、息を呑む。思わず目を見開いた。

――肝臓の病気。

その薬は、姫空にとって見慣れたものだった。肝疾患の進行を抑えるための薬。症状を「抑える」ことはできても、完治には届かない。

だからこそ、腑に落ちた。

正木修羽が莫大な投資までしてノキ研究所に「肝臓病を治す薬」を作らせようとしている理由も。

正木稲巳がエル製薬と組んで同じ研究に走っている理由も。

正木修羽が治療薬を完成させ、正木香織を救えば――正木家当主としての地位は盤石になる。

正木稲巳が治療薬を完成させ、正木香織を救えば――当主の座を奪い取る可能性が...

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