第185章 正木大奥様の算段

狩野姫空はそれ以上なにも言わず、冷えた声で言い放った。

「司朗を迎えに行くの」

そう言い捨てると、彼女は車に乗り込んだ。

次の瞬間、正木稲巳が助手席に滑り込んでくる。

「正木稲巳、いったい何のつもり?」

姫空の苛立ちは、もう隠しきれない。

だが稲巳は悪びれもせず、当然のように言った。

「司朗は俺の息子でもある。俺だって迎えに行ける」

「よく言うわね」

姫空は小さく笑った。笑ってしまうほど、腹の底が冷えていた。

「林田守萌があの子にひどいことしてたとき、どうして『俺の息子だ』って言わなかったの?」

稲巳の眉がきゅっと寄る。

「……それで怒ってるのか? 分かってる。俺が司...

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