第188章 林田守萌は狩野姫空の身分を知った

カフェにて。

狩野姫空は、向かいに座る江口宇介を値踏みするように見据えていた。

「狩野嬢、そんな目で見なくてもいいでしょう。私は敵意なんてありませんよ」

「江口教授。私に何の用ですか」

姫空の声は冷え切っていた。

面識はほとんどない。それでも、この男に好感を抱ける要素が一つもない。

江口宇介は口元だけで笑う。

「あなたの才能を高く評価しています。狩野嬢をエル製薬に迎えたい。興味はありませんか」

あまりに直球で、姫空はわずかに目を瞬かせた。

「待遇は、好きに言ってください。こちらは最高条件を用意します」

姫空は鼻で笑う。

「江口教授。悪いけど、今は転職する気はないわ」

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