第19章 悪いママ

「もうお昼だし、一緒にランチでもどう?」

梅崎宇作は腕時計に目を落として言った。

「ついでに、研究テーマの話もできるし」

「うん」

狩野姫空は頷いた。

今日は特に予定もない。

それに――七年。専門から離れていた時間は、想像以上に大きかった。知識も勘も鈍っている。宇作と話しながら整理できれば、立ち上がりは早いはずだ。

一度、先生を失望させてしまった。

今度は、二度と同じ思いはさせない。

……もちろん、頑張る理由が先生だけ、というわけでもない。

いちばんは、自分のためだ。

二人は近場の洋食店に入った。海市では名の知れた店で、窓際の席がちょうど空いていた。

料理を待つ間、市...

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