第203章 離婚訴訟を起こす

「正木社長、こちら……長島正弘という弁護士から届いた書類です」

五味孝が書類を差し出した。

長島正弘――?

正木稲巳は眉をひそめる。どこかで聞いた名だ。だが、すぐには思い出せない。

封を切り、目を落とした瞬間、顔色が一気に沈んだ。

表紙に大きく記されていたのは、『離婚訴訟状』。

その名の主も、遅れて脳裏に浮かぶ。

――まさか、狩野姫空が離婚を訴えてくるとは。

「……ちょっと出る」

正木稲巳は立ち上がり、五味孝に口を挟ませる間もなく執務室を出た。

だが廊下に出たところで、林田守萌と正面からぶつかりそうになる。

彼女はちょうど、S.Jインターナショナルとの契約をまとめて戻っ...

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