第204章 狩野姫空が正木稲巳に自分の身分を告げる

正木稲巳は冷えた眼差しを鋭くさせると、大股で歩み寄った。

林田守萌も拳をぎゅっと握り、あとに続く。

「……どうして、ここにいる」

正木稲巳の氷みたいな声が、狩野姫空と正木修羽の意識を同時に現実へ引き戻した。

正木稲巳と林田守萌の姿を認めた瞬間、姫空は眉をひそめる。

――まさか、ここで会うなんて。

正木修羽は涼しい顔のまま、鼻で笑った。

「正木社長が貸し切りにでもしたのか?」

「俺は彼女に話している」

正木稲巳は冷たく言い捨て、視線を姫空へ落とす。修羽に向けていたはずの、形だけの敬意はもう欠片もない。

「……どうして、あいつと一緒にいる」

責める口調は、まるで夫が浮気現場...

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