第211章 花火ショーでの偶然の出会い

狩野姫空と正木修羽は食事を済ませ、その足で映画も観に行った。

映画館を出た瞬間、姫空は胸の奥に溜めていたものを吐き出すみたいに、ふうっと深く息をつく。

それだけで、身体が少し軽くなった気がした。

修羽は黙ったまま隣を歩き、横顔をそっと見守っている。

「お兄ちゃん、お姉ちゃん。お花、買ってくれない?」

小さな女の子が花束を抱えて近づいてきた。

姫空が断ろうと口を開くより早く、修羽が財布から札を取り出した。

「その花、全部もらう」

「ありがとうございます!」

女の子は籠の花を慌てて全部取り出し、修羽に渡す。受け取ったお金を握りしめる手が、小さく震えていた。

修羽は花を受け取り...

ログインして続きを読む