第219章 彼女には自分の計画がある

正木稲巳が背を向けて去っていくのを見送りながら、狩野茂は腹の底から煮えくり返っていた。

「乃亜兄さん、俺に言わせないで……見てくださいよ。司朗はあいつの実の息子だろ? 司朗はまだ救命処置の最中なのに、平気で帰るなんて……!」

「いいから、少し黙れ」

狩野乃亜が低く叱る。

乃亜だって、正木稲巳の振る舞いに不満がないわけじゃない。だが、狩野姫空がここにいる。余計な言葉で彼女の神経を逆なでしたくなかった。

けれど姫空は、もう驚くほど落ち着いていた。

正木稲巳がこういう人間なのは、今に始まったことじゃない。

さっきの電話は林田守萌からだった。姫空にも、向こうの物音が聞こえていた。

林...

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