第27章 地位は使用人にも及ばない

狩野姫空はエビチリを食べ終えると、食器をまとめてキッチンへ運んだ。

「奥様、このエビは冷凍しておきますか?」

料理人が尋ねる。

狩野姫空は一瞥し、氷のように言い放った。

「いい。捨てて」

料理人は一瞬きょとんとしたが、すぐに頭を下げる。

「……かしこまりました」

狩野姫空はキッチンを出ると、そのまま車に乗り、新居へ向かった。

もともと今日は、片づけに来るつもりだったのだ。

服も日用品も、使うものだけ運び込めばいい。

作業は夜までかかった。

家へ戻ると、正木司朗はすでに帰宅していた。

正木稲巳の姿はない。

「ママ、どこ行ってたの?」

司朗が不機嫌そうに聞く。

「ち...

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