第29章 初めてのデート

「助手よ」

狩野姫空は、それだけ返した。

学校にいた頃は鷲尾峰のことなど特に印象になかった。けれど、さっきからのやり取りで――この男は、どうにも肌に合わないと確信した。

鷲尾峰と林田守萌が何を企んでいるのかは知らない。知りたくもない。必要以上に関わる気もなかった。

鷲尾峰は無理やり口角を上げる。

「……助手、か」

露骨にがっかりした顔だ。

そのまま、上から目線の言葉を続ける。

「君、職歴もないし学歴も足りないだろ。ノキ研究所で助手になれただけでも、十分すごいよ」

慰めが三割、見下しが七割。そういう言い方。

――この七年、姫空は嫌というほど聞かされてきた。

もちろん、赤の...

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