第38章 見知らぬ人

狩野乃亜は狩野姫空を連れ、あるレストランへ入ると、そのまま個室へと足を運んだ。

「おばちゃん!」

六、七歳くらいの男の子が、ひょいっと飛び出してくる。

狩野姫空は思わず肩を跳ねさせた。

「今日、姫空に会わせたかったのはこの子だよ」

隣で狩野乃亜が言う。

姫空は男の子の顔を見て、息を呑んだ。驚きに、ゆっくりと目が見開かれていく。

「……この子、兄貴の子?」

会ったことはない。けれど知っている。

六年前――ちょうど自分が司朗を産んだ頃、兄貴に子どもがいると聞いた。

母親が誰なのかは分からない。

その子は、ある日突然、兄貴の会社に現れたのだという。

それ以上の事情は、姫空も...

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