第84章 かなり無教養だ

林田守萌と正木心歌のやり取りは、狩野姫空にも聞こえていた。もちろん、隣にいた江口ココにも。

江口ココは腹を立てて言った。

「なにあれ? 姫空が指輪を盗ったって言いたいわけ?」

狩野姫空はふっと笑う。

「守萌さんが私にお酒を一杯注いだ直後に指輪が消えた。……出来すぎだと思わない?」

ココも姫空の言いたいことは分かった。だから余計に頭にくる。

「ほんっと、厚かましすぎる」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、林田守萌と正木心歌がこちらへ歩いてきた。

「狩野姫空。言いなさい。守萌さんの指輪、あんたが取ったんでしょ?」

正木心歌がいきなり詰め寄る。

野次馬の視線が、一斉に狩野...

ログインして続きを読む