第98章 浮気男は未練に値しない

木下宗は、狩野姫空のことを心から高く買っていた。

でなければ、わざわざ自分で出向いて出場を頼んだり、今日こうして自ら迎え入れたりするはずがない。

誤解も解けた以上、狩野姫空が大会を辞退する理由はなかった。

そもそも今回の出場には、別の目的もある。

「じゃあ行こうか。もう向こうで待ってる」

木下宗のその言い方に、狩野姫空は小さく首をかしげた。

待ってる――。

「……彼ら」って、誰のこと?

狩野姫空と江口ココは、木下宗に連れられて練習用の歌唱ルームへ向かった。

到着すると、木下宗が言う。

「この部屋は君のために用意した。今後はいつ来てもいい。いちいち俺に連絡しなくていいから」...

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