第6章

北野羽月視点

その夜、黒木涼は私を初めて見る場所に連れて行ってくれた。

H市の郊外、丘陵地帯に位置するその家は、外見こそごく普通だったが、中はまるでスパイ映画のようだった。至る所にハイテク機器が置かれ、監視スクリーンが並び、専門書類保管庫まで備え付けられている。

「ここは……?」

私は驚きに目を見張りながら、辺りを見回した。

「俺の仕事場だ」

黒木涼がボタンを押すと、巨大な壁面のスクリーンが点灯し、無数の書類や写真が映し出された。

「羽月、君に話しておかなければならないことがある」

スクリーンに映し出された内容を見て、私の心臓は激しく高鳴り始めた。それらの写真やフ...

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