紹介
すべては継母橋本日葵の策略。強欲な父は見て見ぬふりをした。
純真すぎた前世の私は、あまりにも無力だった。
しかし神の気まぐれか、目を覚ますと三年前のあの運命の夜に戻っていた!
「今度こそ、この手で地獄を見せてやる」
私を奈落へ突き落とした者たちに血の代償を払わせるため、冷酷な復讐計画を始める。
だが、私の前に現れた予想外の存在――黒木涼。
冷徹で謎に包まれた彼は、なぜか私が最も追い詰められた瞬間に必ず現れる。
偶然にしては出来すぎた出会い。彼の目的は一体…?
復讐と謎が交差する、二度目の人生が今、始まる。
チャプター 1
北野羽月視点
L市四季ホテルのプレジデンシャルスイート。薄暗い照明が、すべてを非現実的に感じさせた。頭がくらくらして、体が火照る。一体、橋本日葵は私のシャンパンに何を入れたの?
でも、今はどうでもよかった。ただ、目の前の男が欲しかった。
黒木涼はひどく酔っていて、その茶色の瞳は欲望に濡れていた。彼が大きな手で私の体をまさぐると、私も熱心に応えた。もうどうでもいい。今夜はめちゃくちゃになろう。
「んんっ……羽月……」
彼が酔った声で呻いた。
私は彼に跨り、自分のすぐ下に彼の硬さを感じた。薬のせいで理性を超えて大胆になった私は、彼のそれに体を沈めた。満たされる感覚に、思わず嬌声が漏れる。
「あぁ……おっきい……」
私は喘ぎながら、腰を上下に動かし始めた。
彼の両手が私の腰を掴み、酔ってはいるものの、本能的に私のリズムに合わせてくる。目の前で私の胸が揺れると、彼は手を伸ばし、乱暴にそれを揉みしだいた。
部屋は、私たちの荒い息遣いと、肌と肌がぶつかり合う音で満たされていく。一突きごとに快感の波が神経の末端を駆け巡り、汗が鎖骨を伝って流れた。
「そう……もっと、強く……」
私は腰をくねらせ、彼の突き上げに応えた。
こんなに乱れたのは初めてだった。この感覚……最高に気持ちいい。
まさに絶頂に達しようとした――その時。
頭をハンマーで殴られたかのような衝撃が走った!
一連の映像が、目の前を駆け巡る。
咲弥!私の咲弥が!ピンクのドレスを着て、よちよち歩きをしていたまだ三歳の娘が、突然倒れて口から泡を吹いて……。
「事故だったのよ、羽月ちゃん。子供が小さすぎて、変なものでも食べちゃったのね」
橋本日葵の偽善的な顔が目の前で揺らめく。
でも、私は真実を知っている!彼女が咲弥のミルクに毒を入れたんだ!私の娘を殺したんだ!
そして私自身も……撮影現場でハーネスが突然切れ……二十メートルの高さから落下……。
あれは事故じゃない!橋本日葵だ!全部、橋本日葵の仕業だ!
津波のように前世の記憶が押し寄せてきた。継母の橋本日葵に薬を盛られ、間違って黒木涼のルームに入ってしまい、一夜の関係からのできちゃった結婚、礼儀正しいだけの冷めた三年間、咲弥の悲劇的な死、私の鬱、そして最後の「事故死」。前世のすべてを思い出した。
その瞬間、絶頂が爆発した。体は激しく痙攣し、爪が黒木涼の胸に深く食い込む。情欲と復讐の怒りの狭間で、私は未だかつてないほどの快感の頂点に達した。
私、生まれ変わったんだ!そうよ、生まれ変わったんだ!
夜が明けた。分厚いカーテンの隙間から朝日が差し込む頃、私は黒木涼の上から転がり落ちた。体はだるく、薬の効果も切れ始め、意識が徐々にはっきりしてくる。
落ち着いて、北野羽月。あなたは三年前の自分に戻ったの。すべて、やり直せる。
黒木涼も目を覚まし、こめかみを押さえながら起き上がった。明らかに二日酔いだ。
「私……」
私はシーツを体に巻きつけ、急に気まずくなった。
「昨日の夜、私たち……」
くそっ、どう切り出せばいい?私たちはセックスしたばかりで、しかも私は薬を盛られていた。
「気にするな」
黒木涼の声は嗄れており、ひどく酔っていたことがうかがえる。
「お互い大人だ。こういうことは……よくある」
突然、ドアの外が騒がしくなった。
「急げ!北野羽月がこの部屋に泊まったって情報だ!」
「撮れたか?これは大ニュースだぞ!」
全身の血が凍りついた。橋本日葵の罠だ!
前世のこの光景を、私ははっきりと覚えていた。週刊誌のカメラマンが乱入し、ベッドにいる私たちの写真を撮られた。後になって私たちは体面を保つために恋人関係を発表したけれど、私のキャリアは二度と浮上しなかった。
でも、今回は……。
「黒木さん」
私はパニックを装った。
「外にいるの、記者たちです!もし撮られたら……」
黒木涼の酔いは一瞬で半分ほど醒めたようだ。彼は警戒するようにドアの方を見ると、素早くベッドから出て服を着始めた。
「怖がるな」
彼はシャツのボタンを留めながら言った。
「俺が何とかする」
「でも……これじゃ私の評判が台無しに……」
私はか弱さを演じ、目に涙を浮かべた。
「私、まだ若いし、これからのキャリアが……」
私の言葉を聞いて、黒木涼は服を着る手を止め、私を深く見つめると、思いがけず私の手を握った。
「なら、世界中に俺たちが付き合ってるって知らせればいい」
彼の声は、異常なほど固かった。
「俺が君を守る」
え?前世でも彼はそう言った。でも、それはもっと仕方なく選んだ感じだった。なのに今は……どうしてそんなに真剣な表情をしているの?
「本気ですか?」
私は探りを入れた。
「あなたの評判にも影響が……」
「間違いない」
彼はシャツと長ズボンを身につけ、私の言葉を遮った。
「信じてくれ、北野羽月。一緒に乗り越えよう」
彼の毅然とした横顔を見ていると、胸の内に奇妙な感情が芽生えた。
ふむ、そこまで協力的だというのなら、完璧な逆襲劇を演じてやろうじゃないか。
午前十時、ホテルのエントランスは戦場と化していた。数十人のパパラッチがカメラや望遠レンズを構え、そのフラッシュが目をくらませる。
私は昨夜の黒いイブニングドレスを着ていた。多少しわになってはいるが、まだ優雅さは保っている。黒木涼と腕を組み、胸を張って出口へと歩いた。
ドアを開けた瞬間、記者たちは血の匂いを嗅ぎつけたサメのように群がってきた。
「北野さん!北野さん!黒木さんとの関係は!?」
「昨夜、部屋で何をしていたんですか!?」
「あなたが愛人だという話もありますが、どうお考えですか!?」
最後の質問を聞いて、私は内心で鼻で笑った。
愛人?私はアカデミー賞女優よ!
そう言い返そうとした矢先、黒木涼が突然立ち止まり、すべてのカメラの前で、私の手を固く握った。
「それには私が答えます」
彼の声は明瞭で力強かった。
「北野羽月は、私の彼女です。私たちは真剣に付き合っています」
彼女?前世では、ただ付き合っているとしか言わなかった。こんな親密な言葉は使わなかったのに!
周囲からカメラのシャッター音とどよめきが沸き起こった。
「黒木さん、本当ですか?これは公式発表ということでよろしいですね?」
「その通りです」
黒木涼は私の腰に腕を回し、頬に軽くキスをした。
「愛しています」
愛しています!?
私は危うくよろめきそうになった。前世で、彼はその言葉を一度も口にしなかった!
「北野さん、何かコメントはありますか?」
私は深呼吸をして、とびきりの笑顔を見せた。
「とても幸せです」
案の定、「アカデミー賞の新星、プロデューサーとホテルで熱愛」という記事が、その日のトップニュースを飾った。
B市の自宅に戻ると、私の良い気分は一瞬で吹き飛んだ。
ドアを開けると、父の北野健一がリビングで怒鳴り散らしていた。顔は土気色で、こめかみの血管が浮き出ている。
「北野羽月!この恥知らずな売女め!男と寝泊まりしやがって!」
売女?前世では三年間も我慢してやったけど、今回はそうはいかない!
それでも私は怒りを抑え、傷ついた表情を装った。
「羽月ちゃん」
吐き気のするような甘ったるい声がした。
「どうしてそんなに衝動的なの?あなたのキャリアに良くないわ……」
見上げると、継母の橋本日葵がソファに座っていた。四十五歳にしては手入れが行き届き、完璧にセットされたウェーブヘアは今なお美しい。だが、その精巧な顔の下にどれほど毒々しい心が隠されているか、私は知っている。
黙れ!この人殺し!
彼女の顔を見ると、咲弥が死んだ時の光景が再び脳裏をよぎる。私の小さな咲弥ちゃん、まだ三歳で、青い瞳と天使のような笑顔をしていた。目の前に座るこの女が、彼女のミルクに毒を盛り、苦しみながら死んでいくのを見ていたのだ。そして、娘を失って鬱になった私も、いずれ彼女の計画によって「事故死」させられた。
爪が手のひらに食い込むほど、拳を固く握りしめた。
義理の妹である北野千夏は嫉妬に狂い、「ガシャン!」とワイングラスを床に叩きつけた。
「どうしていつもあなたなのよ!どうして良いことは全部あなたのものになるの!」
彼女は顔を歪めて金切り声を上げた。
見慣れた、そして憎むべき三つの顔を前にして、私は逆に冷静になった。
焦るな。ゆっくりやればいい。今回は、一人一人にきっちり代償を払わせてやる。
「お父さん」
私は北野健一の目を見つめ、静かに言った。
「これは、チャンスかもしれません」
リビング全体が静まり返った。まさか私がこんなことを言うとは、誰も思っていなかったのだろう。
「どういう意味だ?」
北野健一が眉をひそめた。
「黒木涼はH市で最も力のあるプロデューサーの一人です。彼と一緒にいることは、私のキャリアにとってプラスこそあれ、マイナスにはなりません」
私は淡々と言った。
「それに、彼は私のことを愛していると言ってくれました」
橋本日葵の表情が瞬時に変わった。彼女の計画は私を破滅させることだったのに、私が災いを転じて福となしてしまったのだから。
驚いた、親愛なるお義母様?ゲームはまだ始まったばかりよ。
「あなた……」
北野千夏は怒りに震えた。
私は階段へ向かい、彼女たちを振り返った。
「疲れたので、休みます。今夜は黒木さんが夕食に迎えに来てくれますから」
呆然と見つめ合う三人をおいて、私は優雅に二階へと上がった。
橋本日葵、北野千夏、そして北野健一……今世では、前世であなたたちがしたことのすべてを償ってもらう。咲弥の復讐、私自身の復讐――一つ残らず、きっちりと精算してあげる。
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もう二度と、優しさなんて見せない。媚びもしない。
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彼女ばかり庇うお兄様たちの機嫌取りも、もう終わりだ。
かつて尽くしまくった元婚約者・石野星紀なんて、視界に入れる価値すらない。
勘違いしないで。
今の私は、ただの「有岡家のお嬢様」じゃないんだから——。
今さら跪いても遅い
自分が手塩にかけて育てた息子は、夫が元カノとの間に作った子供だった。さらにあり得ないことに、父子は最初からその事実を知っており、結託して彼女に隠していたのだ。
それだけではない。彼女はドアの隙間から、夫の計画を親の耳で聞いてしまう。元カノが戻ってきたら、彼女を「体面よく」会社から退職させ、財産を一切渡さずに追い出し、5000万の「補償金」で済ませようというのだ。
5000万?彼女が一人で支えてきた会社で、彼女の金と人脉を使って夫の尻拭いをしてきた結果が、たったのそれだけ?
絶望した彼女は、自分のすべてを取り戻すと誓う。
恩知らずの息子? もう愛さない。初恋に狂う夫? 彼も消え失せろ。
だが、彼女が本当に離婚して完全に去ったとき、あの父子は再び彼女に家に帰ってきてくれと泣きついてきた!
「もう一度だけチャンスをくれ」
今度の彼女は、一瞥さえくれなかった。
隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件
育ての親の一家に家を追い出されたあの日、私は微笑みを浮かべながら、奴らが施しとしてよこした金をゴミ箱へと投げ捨てた。
誰も想像すらできないだろう。この私が、数々の名門貴族や権力者たちが大金を積んで列をなし、首を長くして診察を待つ伝説の名医——【暁】だなんて。
私が時価総額数十億ドルのファッション帝国を裏で支配していることも、ウォール街の株価をたった一回の取引で大暴落させられることも、誰も知らない。私はその正体を、この平凡で冴えない素顔の裏にすべて隠し持っていた。
さらに劇的なことに、私の実の親はこの街で頂点に君臨する最高峰の大富豪だった。
そして私の婚約者——すでに顔を合わせているにもかかわらず、その正体を知らなかったあの男こそ、この街の誰もが名前を聞くだけで震え上がる、ビジネス界の冷酷な死神:梅原晴琉だったのだ。
ある日、彼は私の手を執り、ゆっくりと距離を詰めると、耳元で低く囁いた。
「俺のこの鼓動、今なら感じられるか?」
私は至って真面目な顔で彼の胸に手を当て、大真面目にこう返した。
「心拍数は確かに少し高めですが、非常に健康的です。心配ありませんよ」
彼は一瞬呆気にとられ、それからふっと吹き出した。その瞬間の彼の笑顔に、私の心臓もなぜかドクンと跳ねた。それは、自分自身でも説明のつかない初めての衝動だった。
だが、彼が私の真実に一歩ずつ近づくにつれ……私の心は揺らぎ始めている。自分の最後の秘密を、あとどれくらい隠し通せるのだろうか。
外されるはずのなかった仮面——。だが、あの人が執拗にその霧を剥ぎ取ろうとするとき、私は一体どこへ向かえばいいのだろう?













