第9章
黒木涼視点
国際病院のICU。
目に突き刺さるような白い光に、俺はゆっくりと目を開いた。様々な医療機器がリズミカルな電子音を立て、俺がまだ生きていることを告げていた。
まだ生きてるのか。
視線をベッドサイドに向けると、突っ伏して眠っている北野羽月の姿があった。目は赤く腫れ上がっている。何時間も泣き続けていたのは明らかだった。そのやつれた姿に、胸がナイフで抉られるようだった。
俺が咲弥の名前を口にしたのを聞いたんだろう。くそ、秘密がバレてしまった。
俺がそっと指を動かすと、北野羽月はすぐに目を覚ました。俺の意識が戻ったのを見て、彼女の瞳に大きな安堵が浮かんだが、それは...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章


縮小

拡大