第67話

ダラス視点

ベータフロアへと続く階段を上っていると、ジェスパーが声をかけてきた。「隊長、少しよろしいでしょうか?」

明日の朝、宮殿に大勢が押し寄せてくる前に、家族と過ごすため、私は数時間後にはメイトたちと屋敷へ向かうことになっている。

ベータフロアに誰もいないことは分かっていたので、「もちろん。リビングで話そう」と答える。

ジェスパーが何を話したいのか、心当たりはあった。けれど、早とちりして間違いを犯すつもりはない。私たちは冷蔵庫から飲み物を取り出し、リビングへと入った。

「また移動することになりますよね?」ジェスパーの問いに、私は頷いた。「マーカスも一緒に連れて行くことはできますか?」

最...

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