第5章

 屋上の縁に立ち、眼下の車の流れを見下ろしながら、考えていた。

 ……もし飛び降りたら、痛いのだろうか。

 きっと、一瞬だ。少なくとも、この三年間の地獄よりは短い。

 一瞬の痛みで、永遠の苦痛から解放される。

 治療室から聞こえる母の悲鳴は、まるで厚いガラスを隔てているかのようだった。でも、もう戻れない。私はあの記憶に囚われていた。

 屋上の縁に背を向け、振り返る。いつからか分からない涙が、頬を伝っていた。

 ずっと考えていた。私は、何がいけなかったんだろう?

 あの田舎町から戻ってきた私は、愛されたくて必死で、細心の注意を払っていた……。いい子にしていれば、きっと愛してくれる...

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