第8章

一ヶ月後

秋風が黄金色の落ち葉を舞い上げた。青ヶ浜市の空は相変わらず青く澄み渡っていた。

ただ、美弥にはもうそれが見えなかった。

地方裁判所の中、裁判官の木槌が法廷に高らかに鳴り響いた。

「被告人、須藤玲華。人身売買罪、監禁致傷罪、及び傷害致死罪により――懲役二十年を宣告する。加えて、性犯罪関連者としての情報公開登録を義務付ける」

「ガツン!」

木槌が打ち下ろされた瞬間、玲華は被告人席で崩れ落ち、顔は紙のように真っ白になった。グレーの拘置所支給の服が法廷の照明の下で薄汚れて見え、手錠は彼女の手首に痣を残していた。

「いや! 刑務所になんて行かない!」彼女...

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