第5章

組織内の権力闘争は、日増しに激しさを増していた。

美里は元老たちの支持を取り付け、神代組の実務の一部を掌握し始めている。表向きは私の負担を減らすためだと言っているが、その実、私の権限を奪い、飾り物にしようとしているのは明白だ。

「お嬢、美里様が今日も会合を開きました」

田中が報告する。

「お嬢への通達はありませんでした」

「議題は?」

「港区におけるシマの配分についてです」

田中の声は重い。

「彼女が独断で決定を下し、元老たちもそれを支持しています」

私は拳を固く握りしめる。

「私に忠誠を誓う者を集めなさい」

私は言った。

「神代組の真の主人が誰であるか、...

ログインして続きを読む