第6章
私はその写真を懐から取り出し、床に放り投げた。
写真には、十三歳の私が傷ついた少年の傍らにしゃがみ込み、銀のネックレスを彼の手のひらに乗せている姿が写っている。
そして少年の顔は、十年前の凌そのものだった。
「そんな……まさか……」
凌は震える手で写真を拾い上げ、その身を硬直させた。
「驚いた?」
私は彼を見下ろした。
「凌、あなたがずっと恩返しをしようとしていた相手は、私だったのよ。それなのにあなたは、あんな偽物のために本当の恩人を裏切り、あまつさえ殺そうとした」
さらに冷たい言葉を続ける。
「私がただのお人好しで、道端で誰彼構わず助けるとでも思った?」
...
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