第7章

翌朝、手術の準備は完了した。

「神代様、手術のリスクは非常に高いです」

院長は重苦しい表情で告げた。

「ドナーの肝臓を三分の二も切除する必要があります。これはドナーにとって致命的です。それにあなたの体調も極めて悪い。たとえ移植が成功しても、拒絶反応は激しいものになるでしょう」

「分かっているわ」

私は手術室の扉をじっと見据えた。

「始めて」

「……はい」

手術室に運び込まれる直前、凌は振り返り、私を一瞥した。

その瞳に恐怖の色はなく、あるのはただ静寂と——解脱だけだった。

「お嬢様、この機会を与えてくださり、ありがとうございます」

彼は言った。

「せめて、...

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