第195章 本当に彼を救世主だと思っているのか

中野歩太は椅子に腰を下ろし、静かに語り始めた。

彼もまた、幼少期を児童養護施設で過ごした身だった。だからこそ、今回の『心』児童養護施設事件には、並々ならぬ関心を抱いていたのだ。

佐藤という婆さんは、以前彼らが麻薬の売人を摘発した際、その家族として知り合った人物だった。警察に情報を提供し、自らの手で孫を法の裁きへと突き出したのは、他ならぬ彼女自身だった。

それ以来、彼女の周りから親族はいなくなった。中野歩太は、孤独な彼女を不憫でならないと思った。

佐藤婆さんはその後、自殺未遂を図り、階段から転落した結果、認知症を患ってしまったのだ……。

中野歩太は時間の許す限り、彼女の見舞いに通った...

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