第204章 狡猾な犯人

上山世奈は地面にへたり込み、滝のように流れる汗を肘で雑に拭った。

江川陸斗は工兵用シャベルで壁をガンガンと執拗に叩き、横目で上山世奈を一瞥すると淡々と言った。

「ここに見つかっていない仕掛けがあるか、あるいは自爆装置か……。とにかく、この壁の中に隠されているものは只事じゃなさそうだ」

「そんなこと、分かってますよ……」

彼女は苛立ちを露わにし、壁を思い切り蹴りつけた。

「じゃなきゃ、あのモグラが夜中にこそこそ嗅ぎ回りに来たりしませんから」

だが現状、彼らが掴んでいるのはそこまでだ。これではまだ決定打にはならない。

壁の中に隠された物証を手に入れることこそが、最重要課題なのだ。

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