第七章

 一週間後。神谷グループ本社ビル、その最上階。

 かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだった神谷治世は、今ただ、薄暗い執務室で力なく椅子に沈み込んでいた。

 窓の外では、街頭ビジョンが神谷グループの株価暴落を報じている。デスクの電話は鳴り止まず、赤字で綴られた契約解除の通知が山のように積まれていた。だがそれら全てが、彼にはどこか別世界の出来事のように思えた。

「神谷様! 山田様が投資を引き上げました! 銀行からも最後通告が……今日中に対応しなければ、もう……ッ」

 特助が脂汗を流しながら飛び込んでくる。その声は恐怖で震えていた。

「出て行け」

 神谷治世は顔も上げない。その声は、紙やすりで擦...

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