第7章

 木曜日の朝。ロッカーの金属扉をカン、と閉めた瞬間、頭上に影が落ちた。

 悠介だ。

「好美、話がある」

「話すことなんてない」一歩、後ずさる。

「俺が悪かった!」悠介はいきなり声を張り上げた。

「昨夜、歩美に振られた。やっと分かったんだ。あいつはお前じゃない。あいつが見てたのは、俺が学校のクォーターバックだって肩書きだけだ。俺自身を見てくれてたのは、ずっとお前だけだった」

 思わず、鼻で笑いが漏れる。

「悠介。あんたが欲しいのは私じゃない。虚栄の輪っかに浸かりすぎて、神様みたいに拝んでくれたバカを恋しがってるだけ。でも私は、もう違う。あんたが施すみたいに視線をくれるのを、息を殺...

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