第8章
食卓の脇で、弘人のお父さんが年季の入った紅木の錦箱を取り出し、そっと私の前へ滑らせた。
「きれいだねえ」敏嗣さんは慈しむような目で言った。
「これは平塚の家に代々伝わる結婚指輪なんだ。母が晴子に託して……そして今度は、君に渡す番だと思っている」
私は反射的に立ち上がってしまった。
「お、お父さん、お母さん……そんな、重すぎます。私と弘人、まだ十七歳ですし、早すぎます……それに、うちなんて、私なんて、とても釣り合いません……」
「まず座りなさい、ね」晴子さんが近づいてきて、私の手のひらに浮いた冷や汗なんて気にもしないで、ぎゅっと握ってくる。目尻が赤い。
「私が、あなたの夢を何度...
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