第7章

川島正臣は、まるで壊れやすい磁器を扱うかのように、そっと私を抱き上げて車の後部座席に運び込んだ。

消毒液を染み込ませた脱脂綿で、私の傷口を優しく拭いながら、彼は何度もすまないと繰り返す。

会社の急なトラブルで身動きが取れず、亮一から「午後からでいいよ」と聞かされていたこともあり、つい到着が遅れてしまったのだと。

そう言い終えると、今度は私の傷口にふー、ふー、と小さな息を吹きかけている亮一に向かって、申し訳なさそうに頭を下げた。

柔らかなシートに身を預け、私は正臣の肩にそっともたれかかる。彼から漂う、ほのかで上品なコロンの香りが鼻腔をくすぐった。

「遅くなってすまなかった、...

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