第4章

「森川さんのデザインコンセプトこそ、クラスのカフェにふさわしいと考えますわ」

その一言で、教室は水を打ったように静まり返った。

二年生A組の文化祭企画会議。クラス中の視線が、「お前は誰だ、本物の白銀涼華はどこかに攫われでもしたのか」とでも言いたげに、一斉にわたくしへと突き刺さる。

プロジェクターのスクリーン前で、森川由紀さんが手に持ったデザイン案を微かに震わせているのが見えた。

『ヤバい展開キタ!原作だとお嬢様、ヒロインの案を事前に潰すはずじゃ……』

『悪役令嬢のシナリオ、完全崩壊してんじゃんw』

『まあまあ、どっちも大変そうだし、生暖かく見守ろうぜ。喧嘩すんなよ』

宙に...

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