第5章

「二年A組、本年度文化祭最優秀展示賞、おめでとうございます!」

神崎優の声が、校内放送を通じて隅々まで響き渡る。

四季庭園カフェの入り口に立っていた私は、隣で目を丸くする由紀の表情を見て、思わず口元を綻ばせた。

私たちが徹夜で仕上げた装飾や衣装は、どうやら文化祭を成功に導いただけではなく、クラスに最高の栄誉まで運んできてくれたらしい。

『これって、原作とは真逆の展開じゃない!』

『悪役令嬢が、ヒロインのルートを歩んでる?この逆転劇、最高!』

「涼華、私たち、やったわ!」

感激の涙を瞳に浮かべた由紀が、私のそばに駆け寄ってくる。

由紀は一瞬ためらった後、不意に私の身体を抱...

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