第10章
絵里
十秒のカウントダウン!
私は赤ん坊を強く抱きしめながら、手榴弾の導火線が明滅する光の中で歪む玲奈の狂気の笑みを見つめていた。その瞬間、時が止まったかのように感じた。
「みんな伏せろ!」和也の怒号が空気を切り裂いた。
その危機一髪の瞬間、直樹が突如として横から玲奈に飛びかかり、二人は激しく揉み合った! 玲奈の手から手榴弾が滑り落ち、人々が密集する隅へと転がっていく。
「いやっ!」私は悲鳴を上げ、自分の体で赤ん坊を庇った。
ドォォォン!
爆発音は耳をつんざくようだった! クリスタルのシャンデリアが砕け散って降り注ぎ、ボールルーム全体が一瞬で煙と瓦礫に飲み込まれた。耳...
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