第6章

 翌朝、美弥がやって来た。

「里奈ちゃんのこと、聞いたわ」

 彼女は玄関のステップを上がる。

「あの子にピンクのダンスウェアを持ってきたの。これで少しでも元気になってくれたらと思って」

 寛貴は本来なら、彼女を追い返すべきだった。ここはもう君が来てもいい場所じゃないと、そう告げるべきだったのだ。

 だが、里奈は昨日から泣き通しで、美弥に会いたいと叫び続けていた。

「……上がってくれ」

 彼はそう言うしかなかった。

 リビングに入った美弥は、室内を見回した。彼女の視線が暖炉の上の写真立て――若菜と寛貴の結婚写真、そして家族三人の集合写真――で一瞬止まり、すぐに逸らされる。

「...

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